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第９３回全国高校野球選手権佐賀大会が９日、佐賀市のみどりの森県営球場で開幕した。今年３月に発生した東日本大震災を受けて、バックスクリーン横には「がんばろう！　日本」の横断幕が掲げられた。約１６００人が詰めかけた球場で開会式があり、甲子園出場をかけた４１校の選手が入場行進をした











開幕試合は佐賀西が８―２で小城を破った。第２試合は北陵が６―３で多久を破り、９年ぶりの初戦突破を果たした



反撃の適時打を放つ森口主将選手　【2011年7月10日朝日新聞】

恩師へ見せた成長…小城・森口健史主将

　初球。バットの芯でとらえた打球は放物線を描き、右翼手の頭を越えた。５点を追う６回裏、２死二、三塁の好機で小城の主将森口健史（３年）が放った一打は、この試合チーム唯一の適時打となった。

　佐賀西の広重昭博監督は二塁上の森口を、特別な思いでベンチから見つめた。昨春まで小城の監督だった。異動前、広重監督は「お前がチームをひっぱれ」と森口に声をかけた。

　新チームで主将を任された森口。昨年８月から就任した森博文監督に対し、「自分たちは広重監督に習った練習がしたい」と何度も反発した。気持ちがかみ合わず、チームがばらばらになった。６月のＮＨＫ杯で１回戦負けをした時、森監督の「俺も勝ちたい。チームが一つにならなくてはだめだ」という言葉に、森口の心が動いた。

　今日の試合、森口は２打席とも好機で凡退。だが、森監督の「チャンスは初球から狙え」という言葉を胸に打席に入った。佐賀西の広重監督も「成長した姿が、きっと僕に対するメッセージ」と、ベンチから森口を見つめた。適時打を打っても、ガッツポーズをしない森口を見て、主将として大きくなったと感じた。

　「勝って２人に恩返しがしたかった」。森口は試合後、球場の選手出入り口で涙が止まらなかった。最後の夏を終えた森口は、もう一人の恩師・森監督の手を握りしめ「反発ばかりして、たくさん迷惑をかけました。先生を勝たせたかった」　　　【2011年7月10日朝日新聞】





【１回戦】　９日　みどりの森県営①

　 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
佐西 4 0 1 0 0 0 1 2 0 8
小城 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2

佐賀西：重田清－中村
小城：御厨－清水
［二塁打］中村、高森（佐）森口（小）


好投した佐賀西の重田清一投手　　　　【2011年7月10日朝日新聞】


　佐賀西のエース重田清一（３年）は序盤、緊張感に縛られていた。力が入り、先頭打者に四球。２、４回は甘い初球を外野に運ばれ、ピンチとなった。雨続きで練習試合をこなせず、調子も万全でなかった。

　６月のＮＨＫ杯で準優勝を飾った実績を持つが、「見えない重圧と闘ってきた」とこの１年を語る。

　夏の大会に出場したのは１年生の時。代打で起用されたが打てず、守備では失策で出した相手走者に決勝のホームを許した。雪辱を期した２年生の夏は２番手で登板したが打ち込まれ、コールド負けを喫した。

　「調子の波にも動じない体を作ろう」と、下半身を中心とした体力作りを自分に課した。中堅を守る弟の貢二（２年）は、定期試験中の夜も走り込みに出る兄の背中に、「僕らを甲子園に連れて行こうとしているんだな」と思った。

　重田の直球はこの日、いつもの速さはなかった。だが、捕手のリードで内外を突き、１２奪三振で要所を抑えた。昨秋から体重が１０キロ増え、たくましくなった足腰が制球力を支えていた。

　３年目で初めての一勝。試合後、応援に駆けつけた保護者の前で主将としてあいさつした。「３年間待たせました。これで一戦一戦に集中することができます。あとは優勝するだけです」。力強い言葉と裏腹にこみ上げてきた涙で、後は言葉にならなかった。　【2011年7月10日朝日新聞】



【１回戦】　９日　みどりの森県営②

　 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
北陵 3 3 0 0 0 0 0 0 0 6
多久 1 0 0 0 1 0 0 0 1 3

北陵：濱本、北村、江口誠、濱本－光石
多久：手塚、川内－入江
【三塁打】冨永（北）
【二塁打】吉田、江口誠、宮原（北）



北陵は一、二回の連続得点で勢いを作り、濱本、北村の２投手も低めに球を集めて好投した。多久は五回、１死二塁から岸川選手の中前安打で差を縮め、九回も１死満塁まで粘ったが押し出しの１点止まりだった。







［お問い合わせ］佐賀新聞社編集局映像写真部 電話 0952(28)2129
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トーナメント表はこちらです。
（佐賀県高等学校野球連盟サイト掲載へリンク)
http://kouyaren-saga.jp/wp-content/uploads/2011/06/93th-summer.pdf